光コラボの前に!フレッツ光とはそもそも何か?ドコモ光と何が違うの?
NTT東日本・西日本が「光コラボレーション」というサービスを開始したのは2015年2月。当初は「光コラボ」というサービス名が知られていませんでした(勧誘電話の人からも名前を聞いたことがない!)が、スタートからもうすぐ4年。利用者の急速な拡大に伴って「光コラボ」という名前もずいぶん浸透してきました。
ところが最近、「光コラボとフレッツ光は違うものなの?」「光コラボでドコモ光やOCN光に変えたら遅くなったという話をネットで見たんだけど・・・」といった質問を受けるようになりました。サービス名は知られるようになっても、その中身を理解するのは意外と大変なのでしょう。
光コラボは、うまく活用すると月額使用料を1000円~3000円くらい安くすることが可能なサービスです。でも、フレッツ光やドコモ光、OCN光などと光コラボの関係を知っているか、いないかで、利用しようとしたときの不安感がだいぶ違います。基本的な事柄について、解説します。
●フレッツ光はNTTの光回線サービス
まず、フレッツ光から。これは、NTT東日本、NTT西日本が提供する光・IP通信網(要は光回線を使ったデジタル通信回線)のことです。当初、電話局間だけで利用が認められていたIP通信網を一般家庭向けにも解放し、2000年末から試験サービスを開始。2001年夏から「Bフレッツ」として全国にサービスを拡大したものです。
とっても速いデジタル通信網で、光回線を敷設したのも、回線の所有者も、サービスを提供するのも、すべてNTTが行うサービスと覚えておいてください。
戸建て住宅向けやマンション向け、事業所向けなど、料金や速度が少しずつ異なるさまざまなサービスがありますが、それらを総称して、現在、「フレッツ光」と呼んでいます。アナログ電話回線の代わりになる、デジタルの高速通信網ですね。といっても、アナログ電話に縁がない人が増えましたからイメージしにくいかもしれませんが、NTTが電柱や地下などに、せっせと光ケーブルを設置して、家庭や事業所を高速の光ファイバーでつないだわけです。
NTTでは、その前身の電電公社の時代から、アナログ電話回線を使ったデジタル通信網である「フレッツISDN」で回線のデジタル化を行い、光回線を各家庭のすぐそばまで引いて、光回線網を構築するというロードマップを描いていました。
ところが高速通信への要望がそれを許してくれません。1990年代にADSLが普及して、NTTでもフレッツADSLを開始するなどの、予定外の出来事はあり、当初のロードマップよりも若干早めに光回線サービスが始まったかたちです。ADSLの急速な普及が光通信サービスの普及を後押ししたようなものでしょう。
●光コラボでNTTは回線卸売業者に
光回線の敷設者(つまり所有者)がだけが通信サービスを提供するという状態を変えたのが、光コラボレーションです。通信サービス業界の競争を促すという目的で始まったと言われています。光回線を提供する業者の中でも最大のNTTが、光回線を卸売りして、通信回線を持っていない会社でも光回線を販売できるようにしたのが、光コラボレーションなのです。
●光回線の契約相手が変わるだけ
では、ドコモ光やOCN光といったサービスは、フレッツ光とどう違うのか。光コラボによって、NTT東西は光回線の卸売りをすることができるようになりました。そのNTTから光回線を仕入れて販売しているのが、NTTドコモなどの携帯電話会社やOCNやBIGLOBEなどのプロバイダです。NTTドコモが販売するNTTの光通信サービスを「ドコモ光」、OCNが提供するサービスを「OCN光」と名付けているわけです。
光回線の卸売りといっても、別に光回線を切り売りするわけではありません。それまでは回線を所有するNTTと直に契約していましたが、光コラボによってNTTと私たち契約者の間にひとつ業者が加わり、私たちが契約する業者がドコモやOCN、BIGLOBE、Niftyなどに変わる。そして、エンドユーザと契約した業者は、NTT東西に光通信サービスの仕入れ料金を支払うという仕組みです。ここが、従来のフレッツ光と、ドコモ光やOCN光との最大の違いです。契約相手が変わるだけで、使用する回線はフレッツ光のまま。光回線の維持管理や故障時の修理など、技術的なことはこれまで通り、NTT東西が担当します。
●メリットはさまざま。速度は変わらず
使用する回線がフレッツ光のままですから、回線部分での通信速度や通信品質は、フレッツ光とまったく変わりません。そのうえ、通信費を安くできるという大きなメリットもあります。なぜ、そんなことができるのか。
NTTドコモやプロバイダでは、月額使用料を1000円前後、安く設定しています。しかも、ドコモもOCNもBIGLOBEも、プロバイダを運営しています。従来は、フレッツ光とプロバイダは別々に契約しなければなりませんでしたが、プロバイダが光回線を販売することで、セット販売が可能になりました。これで、セット割引が受けられます。
さらにドコモ光のように、携帯事業を行っている事業者は、スマホとのセット割引を設定しています。これがなかなか大きい。スマホのデータ量の多い人では、ドコモ光とのセット契約で、スマホの料金をかなり(2000円前後)安くできるのです。スマホの家族割りにも適用されますから、光回線の料金は変わらずとも、スマホとのセット割引で、一世帯あたりの総合的な通信費を安くできるのです。
ただ、光コラボによる回線の乗り換えが増えたことで、「ドコモ光やOCN光は遅い」という声が上がっているのも事実。これには、光ケーブルの接続方法も関係しています。
屋外に敷設してあるフレッツ光の光ケーブルは、1本を最大32本まで分岐しています。ちょうど、テーブルタップのたこ足配線のようなものです。加入者が増えると混雑してしまうんですね。
また、プロバイダ側の設備の問題もあります。NTTの基幹回線とプロバイダーを接続する「網終端装置」というネットワーク機器の接続基準がユーザ数で決められているため、トラフィック(通信量)が増えているにもかかわらず、増やせない。それで遅くなるという現象が多発しているのです。つまり、光回線の速度や品質はフレッツ光そのものだが、加入者側とプロバイダとの間の回線が混雑して遅くなることはあり得るのです。
プロバイダのネットワーク機器で渋滞が発生すると、ユーザとしてはどうしようもありません。プロバイダを変更すればいいのですが、光コラボの場合、2年縛りなどの問題もあり、遅いと感じたからといって簡単に変えられないケースもあります。このあたりが、デメリットと言えるかもしれません。とはいえ、こうした混雑の問題は近いうちに解消されていくはずです。