ひかり電話と固定電話の違い
電話といえば、電話機に電話線をつないで通話するものでした。しかし、インターネットの普及で、電話の音声もインターネットを通じてやりとりする時代になりました。固定電話が大きく変わったのです。
●電話が光回線の付帯サービスに変化
NTT東日本/西日本が提供している「ひかり電話」は、IP電話の一種です。auのひかり電話サービスも同じです。ときどき、「ひかり電話と固定電話は何が違うの?」と質問されることがありますが、ひかり電話はサービス名です。従来のアナログ電話と使う電話機は一緒ですし、一定の場所に置いたまま使わないといけないという点でも同じ。ひかり電話はIP電話であり、固定電話の一種でもあります。
IP電話とは、電話の音声をデジタル化した上で「インターネット・プロトコル」を使って送受信する電話のことです。だからIP電話。要は「インターネット電話」になりました。かつての電話は専用の回線を利用していました。アナログ電話の時代はもちろんですが、その後、音声がデジタル化されたISDNの時代になっても、回線は電話回線のままでした。その仕組みが、根本的に変わりました。
光回線とインターネットの普及で、この電話回線を使わずとも、電話で通話ができるようになったわけです。独自のサービスだった電話が、インターネットで使う光回線、つまりフレッツ光の付加サービスになったということです。
●オプションだから電話料金は安い
ひかり電話の大きなメリットのひとつが、料金が安いことです。アナログ電話やISDNでは月額1500円弱~2000円弱の基本料金がかかり、通話料も高めです。市内通話で8.5円/3分、市外通話になると距離に応じて料金が上がります。これに対してひかり電話は、基本料金が月額500円程度で、通話料も8円/3分と、通常の固定電話に比べて安い。固定電話ユーザの半数以上がひかり電話に乗り換えているのも、料金の安さゆえでしょう。
ひかり電話のメリットは料金の安さにとどまりません。複数の電話番号を持ったりナンバーディスプレイを表示させたりといったオプションがいくつも使えます。在宅で仕事をする人にとっては、ありがたいサービスがいくつもあります。
通話品質の良さもひかり電話の特徴です。アナログ電話では、電話局との距離が長いと音声が聞き取りにくくなったり、電話局や回線の途中で混信したりといったことがよくありましたが、ひかり電話は音声がとてもクリアで聞き取りやすいのです。
ひかり電話がスタートした当初は、通話中にプツプツと切れることがありましたが、今はほとんど途切れることはありません。もっとも、今でも地域によっては音声が途切れることがあります。そうした家では、ひかりテレビを通話中にひかりテレビを見ているケースがほとんどでした。光回線の速度が出にくい地域で、こうしたことが起きるようです。
●ひかり電話の利用には光回線の契約が必須
ただし、ひかり電話とISDNやアナログの固定電話と、単純に電話料金だけを比較することは無意味です。それはなぜか。
ひかり電話は光回線のオプションサービスですから、NTTのフレッツ光の契約が必要です。光コラボでプロバイダや携帯電話会社がフレッツ光を販売しており、ここでもひかり電話が使えますが、こちらで契約しても条件は一緒。つまり、ひかり電話だけ契約するのは無理なのです。必ず光回線の契約が必要。これはauのひかり電話サービスでも変わりはありません。
光回線の月額使用料金は、おおよそ4000円~5000円くらいです。ひかり電話につられてうっかり光回線に契約してしまうと、それまでの固定電話よりずっと高い料金を払うハメに陥ってしまいます。そんな人はいないと思いますが、光コラボの勧誘に騙されたというクレームが国民生活センターや総務省にも届いています。親族や知り合いにお年寄りがいる場合は、「ひかり電話だけの契約は無理だよ」と教えてあげておいてください。
●「050」でスマホもIP電話にできる
結局のところ、ひかり電話は、インターネット接続のために光回線が必要になった人にとって大きなメリットがある電話だと言えるでしょう。光回線を導入してバリバリとネットを利用しているのに、電話は別の契約というのは、非常にもったいないことです。ぜひ電話もIP電話に切り替えてください。
インターネットに接続しないのであれば、光回線は不要でしょう。ときどきネットに接続してWEBを見る程度でも、光回線までは必要ないかもしれません。そんなときは、ADSLなど、別の回線に切り替えて電話は電話として契約したほうが総合的な通信費を安くできるかもしれません。あるいは、ネットはスマホで済ませ、電話は普通の固定電話にしておくという方法も良さそうです。いずれにしても、利用状況をよく考えて、通信費全体を下げる方法を見つけたほうがいいでしょう。
なお、IP電話はひかり電話などの固定電話だけではなく、スマホでも使うことができます。050で始まる電話がそうですが、無線LANさえあれば、アプリをダウンロードするだけで、スマホをIP電話として利用することが可能です。
0120などいくつかの番号にかけられない、通話の品質が安定しないなど、いくつかデメリットもりますが、同じプロバイダを使っている人同士の050通話が無料になったり、固定電話にかけても割安になったりと、うまく利用すればコスト的にメリットがあると思います。