ちゃんと知っておこう!クラウドサービスの基本
クラウドサービスの利用者が急速に増えています。上手に使えば便利なものですが、セキュリティの問題などもあり、利用にはいくつか注意が必要です。
●クラウドサービスってなに?
クラウドサービスは、コンピュータ機能の代行サービスのようなものです。どういうことか。パソコンで表計算やワープロを使ったり、画像の加工をしたりしようとすると、ソフトウェアをインストールする必要があります。また、仕事や趣味で作成したテキストや画像データは、自分のハードディスクに入れておかなければなりません。
クラウドサービスは、この利用形態を変えるものです。クラウドサービスを提供しているISPなどが、アプリケーションソフトやHDDの代わりとなる保存場所(ストレージ)を用意。インターネットからクラウドサービスにアクセスして、それらを使います。自分のパソコンの機能を、一部ネット上に置いたようなものですね。
貸倉庫を借りて、ときどきしか使わない道具や家具、生活雑貨などを預け、必要とあらば電話一本ですぐに持ってきてくれ、使い終わったら引き取りにきてくれるサービスのようなものでしょう。かたちあるモノではこんなことは無理ですが、コンピュータのデータならば可能なのです。
なお、名前のクラウドは空に浮かぶ雲のことです。でも、「雲サービス」じゃ意味がわかりませんよね。はい、サービスの内容とはあんまり関係ありません。クラウドサービスは、ネットワーク上の複数のコンピュータを必要に応じて使い分けます。手元にある1台のコンピュータを使っているのと同じですから、ネットワークの先にあるコンピュータのどんな機能をどのように使っているのかが見えません。わかりづらいので、アメリカの某企業の担当者が資料を作成するとき、ネットワーク上の「この部分がクラウドサービスだよ」と示すために、モコモコとした雲のような図柄で囲んだ絵を作ったことから「クラウド」と呼ばれるようになった。そんな説が有力です
つまり、サービスの内容と名称とは、あまり関係なし。「そういうサービス名だ」とだけ認識しておけばいいでしょう。
●メリットはなに?
クラウドサービスのサービスの内容は主に3種類あります。
[SaaS](Software as a Service)
ASP(Application Service Provider)と呼ばれていたサービスです。インターネットに接続して、各種のアプリケーションを使うサービスです。電子メールや顧客管理、会計ソフトなど、さまざまなソフトが利用できます。
[PaaS](Platform as a Service)
名前の通り、アプリケーションを使うときに必要となるプラットフォーム機能を提供するサービスです。
[IaaS](Infrastructure as a Service)
インターネット所に、ハードディスクやデスクトップ、ファイル共有機能などを持たせるサービスです。あたかも自分のハードウェアを使っているようにディスクなどのインフラを使えます。
使うときは、インターネットでアクセスするだけと簡単ですし、自分のパソコンの機能を充実させようとすると、コストも手間もかなりかかります。上記のようなクラウドサービスを使えば、機器やソフトの購入費用が節約できます。月額使用料金は必要ですが、初期費用が安く、機器の維持管理費用や手間が軽くなるんですね。
家で作ったデータをクラウドサーバにアップロードしておけば、外出先のパソコンでも、自分のパソコンを使う感覚で作業ができます。また、多くのソフトをインストールしなくてもいいので、パソコンへの負荷も減らせます。
情報管理の観点からメリットが大きいため、クラウドサービスは、企業を中心に急速に普及しています。プロバイダやグーグルなどの企業でもサービスを展開していますから、個人でも使う人が増えてきました。データ量の大きな画像などを共有化するときに、メールやアップローダを使うよりずっと便利なんですね。インターネット上でさまざまなサービスが提供されていますから、知らないうちに利用しているということもあります。
●大事な情報をネット上に置くリスクを意識しよう
クラウドサービスは、最低限のハードやソフトをそろえてさえおけば、いつでもどこからでもインターネット経由で高度なサービスを受けられる便利なものです。ただ、利用するにあたっては、ひとつ注意点があります。
それは、自分のデータが事業者のサーバにあることと、インターネットを通じて情報のやりとりをしていることです。これを忘れないようにしてください。クラウドサービス事業者はサーバの管理体勢やバックアップ体勢を整えているはずです。セキュリティの面でも対策を施しているでしょう。
しかし、ネット上にデータを置けば、悪意ある者に情報を読み取られる危険性が高くなることは確かです。クラウドサービスを使うときは、情報セキュリティの面でリスクが常につきまとうことを忘れないようにしたいものです。業者選びのときも、十分なセキュリティ対策が施されているかどうか、じっくりと吟味する必要があるでしょう。