停電時に助かるかも!ADSLなら停電時でもネット可能!?
「ADSLなら停電になってもネットを使えると聞いたんだけど、ほんと?」という質問を受けました。
今年は地震や台風の被害が各地で発生して、大規模な停電が発生したため、その人は、停電時のネット環境に関心を持ったようです。実際のところ、どうなのでしょう。解説します。
●電話はできる
ADSL回線は停電時でも使えるか。結論を言えば、使えます。ます。ただし、アナログ通信のみです。デジタル通信はできません。なぜか。ADSL回線が、昔からあるアナログ回線を使用しているからです。
ADSLは、通常のアナログ電話回線(銅線)にデジタル信号を乗せてインターネットなどに接続する方式です。電話局には、アナログ電話用に巨大な蓄電池が備えられているほか、非常用発電機もあります。電話線が切れてしまった、あるいは電話局が浸水して設備が水浸しになったということが無い限り、電話局側ではアナログ信号もデジタル信号もやりとりできるようになっています。
仮に家が停電しても、アナログ音声は通話できるのです。留守番機能付きの電話機ならば、停電しても、親機で通話できます。
●インターネット接続も可能だが
問題のインターネット接続ですが、これも、可能と言えば大いに可能です。ただ、そのためには事前の準備が必要です。
方法のひとつは、発電機、あるいは電池式で100Vを取り出せる非常用電源を用意しておくことでしょう。これでパソコンとADSLモデムに給電すれば、ガソリンが切れるまで、あるいは電池が無くなるまではパソコンでインターネット接続ができます。
もうひとつは、電池式のモデムを用意しておくことです。昔のネットで使われていた方法です。USBのバスパワーで動くモデムがありますから、これならパソコンの電池と共用できます。ルーターは使えないので、パソコンから直にプロバイダに接続します。速度はぐっと遅くなり、メールくらいしか使う気にならないでしょうが、これも、パソコンの電池が切れるまで使えます。
停電時にADSL回線でインターネットに接続する方法は、このふたつでしょう。
●あえてやる必要あるの?
非常用電源やUSBモデムを用意するだけですから、単純と言えば単純です。今年9月初旬、北海道で起きた地震で停電が発生したとき、「冬は薪ストーブを使えばいい」とtwitterなどで発言した人がいましたが、札幌のマンションで薪ストーブを使うよりは、はるかに現実的でしょう。
ただ、非常時の連絡のために、あえて光回線ではなくアナログ電話を残したり、非常用の電源やモデムを用意したりしてADSLでインターネットに接続するというのは、本末転倒でしょう。100Vの電源が用意でき、かつ通信網が正常に機能しているならば、光回線も使えるのですから、素直に光回線にしてしまったほうがムダがありません。通信網自体が損壊を受けていれば、何を使っていてもムダなのですから、あきらめるしかありません。
ということで、非常時、特に停電時の連絡を考えるならば、固定回線の非常対応はすっぱり切り捨てて、スマホの電源確保をどうするか考えておいたほうが、ずっとスマートだと思います。