光回線とADSL回線って違うもの?何が違うの?
以前、「光回線て何?」に登場した若者Aさん。引っ越したマンションに光コンセントがついていたようで、無事、快適な回線環境を手に入れたようです。
A:光にしたら本当にストレスフリーです。すごく便利。WiFiルーターも入れました。ところで、質問していいですか?
N:なに?
A:基本的なことですけど、ADSLってなんですか? 光回線と違うんですか?
N:あれ、以前説明しなかったっけ?
A:してもらったかもしれませんが、私、スルー能力は子供の時から高い。
N:あ、そう。じゃあ、またスルーされるかもしれないから簡単に説明しよう。
■光はADSLより速い
N:使用していて最大の違いは速度。光回線はADSLよりもずっと速い。
A:速いって、どれくらい?
N:ADSLは下り最大50Mbps、上り最大5Mbps~12.5Mbps程度と言われている。光回線の場合、下りも登りも概ね1Gbps程度。NURO光のように、下り最大2Gbpsをうたっているものもある。光はADSLよりも下りで20~40倍、上りで100~200倍くらい速いという計算になる。むろん、これは論理値だから、実際にはずっと遅くなる。
A:遅くなるって、どれくらい?
N:回線の混雑状況やプロバイダなどによってコロコロ変わるから一概には言えないが、光の場合、100Mbps前後まで遅くなることがあるようだ。場合によっては数十Mbpsになることもある。ADSLの場合、20Mbpsくらい出るときもあるようだが、1Mbps以下になることもある。
A:そんなに落ちて大丈夫なんですか?
N:メールの送受信をしたり、ホームページを見たりするだけなら、数Mbps以上出ていれば全く問題ないのでADSLでも大丈夫。動画も不満無く見られると思う。ただし、巨大なファイルをアップロード/ダウンロードしたり、オンラインゲームをしようとしたりすると光回線じゃないと無理でしょう。
A:なるほど。光回線とADSLは、速度がだいぶ違うってことですね。
N:そのぶん、月額の利用料金もADSLのほうが安い。光回線は5000円前後が一般的だけど、ADLSは3000円前後、業者によっては2000円台で使えるところもあるようだ。
■ADSLは電話回線を使ったデジタル通信
A:ところで、さっきから出ている上りと下りって何のこと? ADLSは速度がずいぶん違うようですが。
N:いいところに気づいたね。
A:私、なかなか鋭い?
N:たぶん・・・では下りと上りから説明しよう。まず下りというのはダウンロードするとき、つまり情報がサーバから自分のパソコンに送られてくるときのことね。上りは反対にアップロードするときのこと。多くの人は、大量のファイルをアップロードするよりも、ホームページを見たりしてデータを受けることのほうが圧倒的に多いでしょう? だから、下りの速度を上げているわけ。
A:両方とも上げればいいのに。
N:ADLSは、細い銅でできた電話線にデジタル信号を乗せ、安いコストである程度の距離を流さないといけないから、余裕がない規格なんですよ。駅の階段でも、パイプで上りと下りの幅を非対称に分割されているところがあるでしょう。あれと同じように、いっぺんに流せる情報が限られているから、よく使う下りのほうを広げているわけです。ADSLの名前の由来でもある。
A:えっ? 名前に関係?
N:ADSLは「Asymmetric Digital Subscriber Line」の頭文字を並べたもの。つまり、「非対称デジタル加入者線」。1対のツイストペアケーブル(要は電話線)を使ってデジタルデータをやりとりする「DSL」(デジタル加入者線)のうち、上りと下りの速度が非対称な通信を行うものを、ADSLと呼んでいるわけ。既存の電話網を使えたから、急速に普及したんですね。
■ADSLは距離が長いと遅くなる
A:非対称があるということは、対照もあるってこと?
N:あることはあった。でも、今はほとんど普及していないはず。DSLには他にもいくつか規格がある。よく知られているのは、VDSL(Very high bitrate Digital Subscriber Line)だろうね。古いマンションどで、光回線から既存の電話線を使ってデジタル回線を分岐させるために使われている。これはADSLよりずっと速いが、集合住宅内程度の距離でしか使えない。
A:へぇ~。距離が長くなると遅くなり、短いと速くなるんですね。
N:ADSLはメタリックケーブル(金属線)に電気信号を流すから、距離が長くなればなるほど信号が減衰、つまり弱くなってしまう。そのうえ、外部の電磁波の干渉を受けやすいから、一定の距離以上に伸ばすと、信号が途切れることさえある。電話の音声なら雑音が混じっても、音が小さくなっても聞こえるけれど、デジタル信号は途切れちゃうからね。一般的に、基地局(電話局)からの距離が2.5km以上になると、極端に通信速度が落ちると言われている。
A:光回線は距離が伸びても大丈夫なんですか?
N:光も減衰するけれど、電気よりはるかにその割合が小さいから遠くまで届くんです。電磁波の干渉も受けないし、外部から通信傍受することもできない。こと速度と品質に関しては、今現在、光回線に勝るものはないと言っていいと思う。
A:勉強になるなあ。
N:光とADSLはどちらもデジタル通信だけど、光はADSLより速い、光は光ファイバーを使い、ADSLはメタリックケーブルを使う。これだけ覚えておけばいいと思う。
A:わかりました。疑問が出てきたら、また質問しま~っす!